私立医学部英語マニア

私立医学部の英語に関する所感をつづります。

【私立医学部英語分析①】英作文を課す大学

 

私立医学部の英語を全校毎年解いている私が、

完全なる主観と偏見により、私立医大入試を

系統分けしていきたいと思います。

 

記念すべき第1弾として、英作文を課す大学を整理してみます。

 

英作文と言っても、

与えられた日本語を英語に訳す「和文英訳」と

主題に沿って意見を述べる「自由英作文」の

2種があります。

 

昨今国公立大では特に「自由英作文」を課す

大学が増えていますが、「和文英訳」も

まだまだ主流です。

 

それでは見ていきましょう。

(集計年度;20112019の9ヶ年)

 

[例年出題している大学]

大阪医科大学

   和文英訳。毎年最後の第3問で出題。

   環境問題を扱ったテーマ多し。

   「英語を和訳したような日本文」で

   出題されるのが特徴。

 

久留米大学

   英文中の和文英訳。

   毎年第3問で出題。1行程度の短い英訳。

 

慶應義塾大学

   和文英訳と自由英作文の両方を出題。

   和文英訳は長文中に埋め込まれている。

   23行に及ぶ割と長めの英訳。

   自由英作文のテーマは医療系という訳では

   なく、日常生活にまつわるものが多い。

   語数指定は大体80100語程度。

 

産業医科大学

   自由英作文。毎年最後の第4問で出題。

   出題テーマは、少子化や選挙年齢の

   引き下げなど、社会問題に関わるものが

   多く、受験生は難しく感じるかも。

   毎年100語程度で記述。

 

順天堂大学

   自由英作文。毎年最後の第5問で出題。

   語数指定はなし。「内容だけでなく量も

   評価に入れる」と明言しているので

   かなりの量を書くことが求められる。

   目安はA4用紙びっしり1枚分。

   出題テーマは「人生の師は誰か?」や

   2年前に遡るなら何をしたいか?」など

   人間性や内面を問うものが多い。

   

東海大学

   英文中の和文英訳(1行〜2行程度)。

 毎年最後の第8問で出題。

   周辺の英文にはヒントが満載なのでしっかり

   読んでおくべき。

   

東京慈恵会医科大学

   和文英訳。毎年最後の大問で出題。

   日本語で書かれた45行の随筆文のうち

   1行程度英訳させる問題。

   日本語特有の言い回しをいかに英語らしく

   表現できるかがカギ。

   

東京女子医科大学

   自由英作文。

   毎年第1問の長文の最後の設問で出題。

   長文の内容に対して賛成か反対か意見を

   述べさせる。語数指定が25語なので

   簡潔さで勝負。

   

日本医科大学

   自由英作文。2016以降出題。

   語数は50語指定で短め。

   テーマは医療系という訳ではなく、

   受験生でも身近な「科学技術の長所と短所」

   といったような日常的なもの。

 

兵庫医科大学

   和文英訳。最後の問題で出題。

   京大を彷彿とさせる、超長文の英訳。

   英作の難度だけで言えば、私立医大の中でも

   トップクラス。大学の偏差値に見合わない

   難しさ。これは後で触れます。

 

藤田医科大学

   2017年度の大幅改変で追加。

   最後の問題で出題。和文英訳。

   1ページほどの英文に埋め込まれた

   日本文を4カ所英訳する問題。

   東海大学と同様、周辺の英文にヒントあり。

 2018・2019年度は特に日本の文化が題材で

 周辺の英文から表現を借りるのは必須。

 

 

[過去出題歴あり]

岩手医科大学

   2015年度までは毎年出題。

   2016年度以降マーク式になった本学だが、

   それまでは記述式であった。

   最終問題で出題。和文英訳。

   1行の日本文を英訳×2問。

 

聖マリアンナ医科大学

   2014年度まで毎日出題。和文英訳。

   英文中に埋め込まれている場合や

   独立した大問で出題される場合など

   多彩であった。

   現在は英作がなくなった分、日本語での

   記述解答量が増加中。

 

日本大学

   2013年度まで毎年出題。自由英作文。

   身近なテーマについて3040語の語数指定。

 

 

 

こうして見ていくと、

現在英作文が出題される大学は

一般的に偏差値が高めの大学が多い

と言えます。

 

英作文は英語に対してある程度深い理解が

必要とされるので、一朝一夕では伸びません。

また、和文英訳と自由英作では

対策の仕方が違うので、対策にかかる時間も

変わってくるでしょう。

 

自分が受験する(または受験したいと

思っている)大学の出題傾向は

予め調べておき、「英作が出る」と分かれば

早めに準備に取り掛かりましょう。

 

受験生各位の健闘を祈ります。

 

 

追記:

兵庫医科大学の英作文問題です。

これは2016年度出題分ですが、

本当に受験生泣かせです。

「まともに書けた受験生いたんかなぁ?」

と疑問を抱かずにはいられません。

 

 

:次の和文を英訳しなさい。

 

能力や財産に関して、途方もなく差がある人に、ひとは嫉妬しない。ひとが嫉妬する相手はむしろ、境遇が近い人、優劣や運不運など、その人との比較がいちいち気になって仕方がない人である。その意味で、嫉妬の相手は、実はもっとも気がかりな自分が映っている鏡なのである。

 

出典:鷲田清一朝日新聞『折々のことば』2015627日。

 

 

まあ、ほんと辟易しますよね笑

見ただけで諦めた受験生も少なからず

いたことでしょう。

 

このように、私立医学部はどこかしら

「ぶっ飛んだ」出題をするのが普通なので、

覚悟しておきましょう笑